PREP法の他にも、もう一つ有名な文章・プレゼン構成のフレームワークがあります。それは、SDS法と呼ばれるものです。
PREP法は、理由や具体例を用いて相手を説得するのに対して、SDS法は、具体的な仕事内容を共有するのに向いています。
ですから、PREP法は意思決定者に対する説明、SDS法は実務者間のコミュニケーションに向きます。
そのような違いを踏まえつつ、今回は実務者間でのコミュニケーションに使えるSDS法について解説したいと思います。
SDS法とは?
SDS法における文章構成は次の3ステップです。このステップを踏むことによって、実務者間の意思疎通が容易になります。
- Summary(まとめ)
まず、報告の主題・目的・結論などを始めに説明します。このプロセスを挟むことで、聞き手が議論するための素地を作ることが出来ます。 - Detail(詳細)
報告内容の詳細について説明します。実務者間では基本的には全ての情報を開示するようにしましょう。 - Summary(まとめ)
再度、報告内容をまとめて認識を共有します。
SDS法のメリットは?
構成がシンプルで必要十分
実務者同士なら、打ち合わせの概要と議論に必要な詳細情報があれば、十分に意思疎通・情報共有が可能です。
むしろ、理由や背景を延々と話される方が聞き手としてはしんどくなってしまいます。実務者ならその辺りも把握済みですからね。
議論できる素材となる
何事においても議論をするためには、その土台となる情報が必要です。
SDS法に従って、文章・プレゼンテーション作成をすると、議論に必要な詳細情報を盛り込むことが出来ます。そのため、有意義な議論をできる可能性が高まります。
逆に、必要な情報が不足していれば、現実に基づかない誤った判断をしてしまうリスクが高まるので、SDS法によって議論できる準備をすることは非常に重要です。
具体例
今回は、製品開発においてSDS法を活用した具体例についてご紹介したいと思います。
以下の具体例にもあるように、必ず一次情報を資料のどこかに添付しておくようにしましょう。二次情報だと、その時点で他者の偏見が混じる場合がありますからね。
前回の会議で議題に上がっていたガラスタンブラーの重要品質についてリストアップし、仮目標値を算出しました。
今回はこれらの指標の中で、基準を満たせていない保温性の改良についてご説明します。結論は、ガラスへの微細気泡導入による断熱性向上によって要求性能が満たせるとなっています。
- 落下安全性
タンブラーを落として割れた時に破片が飛び散らない。 - 容量
容量は需要が最も多い300ml - 保温性
100度の熱湯を注いで、30分後に60度以上。(外気温20℃)
氷水を注いで、30分後に10度以下。(外気温20℃) - 耐熱性
100度のお湯を注いだ容器の最外面温度が40度 - デザイン性
インテリアとして飾ることができるレベル
タンブラーの保温性は、容器の断熱性と強く関係しています。
そして、容器の断熱性を上げる方法としては、水に接する表面積を減らす・材料の熱伝導率を下げるなどが挙げられます。
しかし、検討の結果、容量の制限から劇的に表面積を減らすことは難しいことがわかりました。検討内容は以下の添付資料に示す通りです。
熱伝導率に関しては、2重ガラスの隙間に空気層を挟むことで熱伝導率の低下を実現できました。しかし、この技術は他社製品において導入されており、2重ガラス構造のみでは性能的な優位を確立できません。
そこで、新たに検討したのは、欧州のC社が有するガラス内に微細な気泡導入する技術です。この技術によりガラス部分の熱伝導率を最大50%下げられると想定されます。
実験データについては以下の資料をご覧ください。
以上のことをまとめると、ガラスへの微細気泡導入によって断熱性が向上し、課題だった保温性の要求性能を満たせる可能性が出てきたと言えます。
とはいえ、コスト面や生産面では、まだ多くの課題が存在するので、知見を有する皆様からのアドバイスを頂ければと思います。
まとめ
SDS法とは?
実務者間の意思疎通が容易にする文章構成法で次の3ステップに分かれています。
- Summary(まとめ)
- Detail(詳細)
- Summary(まとめ)
SDS法のメリットは?
SDS法のメリットを並べると次の通りです。このメリットから分かるように、当事者同士の議論の際に役に立つフレームワークです。
- 構成がシンプルで必要十分
- 無駄のない議論が可能
- 議論の素材に適している
逆に、意思決定者への説明を行う場合は、説得力を高められるPREP法を活用すると良いですよ。
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