ロジカルシンキングの基礎において、必ずと言ってよいほど登場するのが、PDCAサイクルです。
というわけで、今回はPDCAサイクルの意味・使い方・注意点について具体例を入れながら解説したいと思います。
PDCAサイクルとは?
由来
PDCAサイクルの由来は、工場における生産技術・品質管理にあり、当初は提唱者の名前をとってデミングサイクルと呼ばれていました。
現在では、その効果が認められ、あらゆる分野において応用されるようになりました。
意味
PDCAサイクルは、次の4ステップに分かれています。
このフレームワークを繰り返すことによって、仕事や日常生活を継続的に改善できます。
PDCAのメリット
PDCAサイクルのメリットは次の通りです。
着実に業務改善が可能
PDCAサイクルは、目的に達するための手段がある程度定まっている業務や定型的業務に適しています。
実際、日本の製造業が諸外国より強いのは、このPDCAサイクルがしっかりと回っているからです。
例を挙げると、生産設備の改善活動・効率的なメール処理・通勤ルートの最適化などがありますね。
タスク管理が楽
PDCAサイクルによって業務管理することで、過去から現在に至るまでの経緯を知ることが出来ます。
もちろん、現在における部下の業務・進捗管理も容易になります。
以上のことから、管理職の目線で考えてもPDCAサイクルにはメリットがあるといえます。
PDCAのデメリット
イノベーションを期待できない
PDCAサイクルは地道な改善活動の連続であり、日本企業の十八番とするところですが、iPhoneに代表されるような革新的なイノベーションを起こすことはできません。
日本企業はイノベーション能力が低いと言われており、その能力向上が求められています。
手段の目的化
PDCAサイクルは、目的を達成するための手段です。しかし、実務に当たると想像以上に忙しく、PDCAサイクルを回すことが目的化します。
そうすると、ゴールを見失ってしまい、改善活動の意味が無くなります。
そのため、ゴールを見失わないようにするために、ゴールを足したG-PDCAサイクルも提唱されています。
PDCAサイクルの使い方・具体例
今回は様々な人が理解できるように、勉強を例に挙げて考えたいと思います。
まずは、PDCAサイクルを考える前にゴールを設定する必要があります。
G(ゴール)
ここでは、ゴールを1年後のテストで学年トップ5%に入ると設定します。(現在はトップ60%とする。)
ゴールは最終目標になるので、年単位で挑戦的な目標を立てると良いです。
もちろん、目標は定量化する必要があります。そうしないと、ゴール到達したかを判断できませんからね。
P(計画)
注意点
PDCAサイクルの中でもP(計画)は特に重要です。計画がずれていると、残りのすべてもずれることになりますからね。
計画段階で意識することは、持続可能性と定量化です。要は、自分のできる範囲内で数値的な計画を立てる必要があるわけです。
ことわざにおいても「言うは易く行うは難し」とあるように、実際に物事を実行するには大きな力を必要とします。
もし、計画通りに実行できなければ、PDCAサイクルも回らなくなり、時間と費用を浪費することになります。
具体例
成績向上の計画をまず次の2つに分解して考え、それぞれの計画を粗く考えます。
- 授業
真面目に先生の話を聞く - 自学自習
予習・復習をキチンとする
このままでは、漠然とした計画となるので、日々こなせる内容に変換します。
- 授業
一つの授業ごとに不明点を1つ質問する - 自学自習
予習:前日に教科書を一読する(1時間)
復習:授業範囲の問題を解く(2時間)
これで、行動の計画を立てることができました。次に、評価の方法について考えます。
1年後の試験を含めて5回のテストがあるとして、次のように成績向上を目指します。この4回の中間テストによって計画(P)と実行(D)の評価(C)ができるようになります。
- 上位30%
- 上位20%
- 上位10%
- 上位8%
- 上位5%
以上のことから分かるように、PDCAサイクルの計画は非常に重要な役割となっています。もっと言えば、計画がしっかり立っていると、その後のD・C・Aは勝手に回ります。
D(実行)
注意点
実行段階では、計画した通りに物事を進められるようにひたすら努力します。
とはいえ、計画通りに物事を進められないことは良くあります。むしろ、計画通りにいかない方が多いです。
その場合は、計画段階に立ち戻って実行可能な計画を練り直す必要があります。計画への手戻りを減らすためにも、計画の段階でかかる時間・費用を概算しておくと良いです。
具体例
以下の計画通りに、物事を実行するのみです。
- 授業
一つの授業ごとに不明点を1つ質問する - 自学自習
予習:前日に教科書を一読する(1時間)
復習:授業範囲の問題を解く(2時間)
C(評価)
注意点
Check(評価)は、計画して実行した結果を評価する段階です。物事を評価するためには、基準が必要です。
ですから、何を評価基準とするか?何をもって良い・悪いを決定するか?について決めておく必要があります。
その基準に照らして、現状の施策が良い結果であれば継続・悪い結果であれば改善へとつながります。
具体例
今回の場合、評価基準は目標成績との対比になります。
例えば、科目ごとに目標と実績を比較して、基準を満たしているものは現状維持、満たしていないものは改善策を考えます。
この評価(Check)がしっかりできていないと、問題点を把握することができなくなります。
A(改善)
注意点
Action(改善)は、check(評価)によって見つかった課題に対する対策方法を考えるプロセスです。
当然のことですが、Action(改善)で考えた改善策は、次のPlan(計画)に活かせるような形にしなければいけません。
ですから、「Aが悪い。だからAを改善する」というような具体性のない改善策は上げないようにしましょう。次のPlan(計画)の質が落ちてしまいますからね。
具体例
先ほどの目標成績と実績の対比の結果、数学の点数が目標と乖離していることが判明しました。そして、要因を掘り下げてみると、前学年時の数学知識が抜けていると分かりました。
以上のことから、改善策としては前年度の数学を復習することが挙げられます。このように、問題→要因分析→改善の流れで考えることによって、具体的な改善策を提案することができます。
そうすると、次のPlan(計画)の具体性も増し、効力が上がります。
まとめ
PDCAサイクルとは?
PDCAサイクルは、次の4ステップに分かれています。
このフレームワークを繰り返すことによって、仕事や日常生活を継続的に改善できます。
メリット
PDCAサイクルのメリットは次の通りです。
デメリット
PDCAサイクルのデメリットは次の通りです。
使用上の注意点
計画を定量化
計画を定量化することで、その後の「実行・評価・改善」が自動的に定量化され、再現性のあるサイクルを描くことが出来ます。
そうすることで、業務で得た知見を別の仕事にも応用することが出来ます。
実現可能な計画
計画がどれだけ優れていたとしても、実行しないことにはいかなる結果を得られません。
ですから、計画時には実現可能性を最優先に考える必要があります。
評価方法・基準を決めておく
業務を改善するためには、評価方法・基準が必要になります。そうでなければ、「何が良いのか?何が悪いのか?」が分からなくなりますからね。
また、これらのことは計画の段階で既に決めておく方が良いです。
PDCAのつながりを意識
PDCAサイクルはすべてのプロセスが円滑につながることによって初めて効果が得られます。要は、常に次のプロセスを意識した仕事が必要というわけです。
それを箇条書きで表すと次のようにまとめられます。
- 実行可能な計画
- 振り返り可能な仕事
- 問題意識を持った評価
- 具体性のある改善策
皆さんも上記のように、次を意識したPDCAサイクルを回すようにしましょう。
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