仮説思考は仕事を効率よく進めるうえで必須の思考法です。
なぜなら、初めから答えが分かっている仕事などほとんどないからです。研究開発職・コンサル職など知的労働職ではその傾向が顕著です。というより、答えが分かっている仕事など存在しません。
とはいえ、飲食・製造職などの肉体労働職の方々も仮説思考をすることで業務効率が大きく改善できる場合もあります。
というわけで、今回は仮説思考とは何か?その手順・トレーニング方法を解説したいと思います。
仮説思考とは?
仮説思考とは、「保有する情報から合理的な法則性(仮説)を見出す思考方法」です。
このようにみると仮説思考は難しいもののように思えますが、そうではありません。
例えば、「雲行きが怪しいから傘を持っていく」というのも立派な仮説思考の一つです。これを上の定義に当てはめて読み解くと次のようになります。
- 雲行きがあやしい。
- 経験上、雲行きが悪いと雨が良く降る。
- 雲行き悪=雨が降る可能性が高い。よって、傘を持っていくべき。
これは簡単な事例ですが、「保有する情報から合理的な法則性(仮説)を見出す思考方法」という基本は共通しています。
とはいえ、実際はより複雑で、同時に複数の仮説を考えなければならないケースの方が多いです。
次にこのような仮説思考を身に着けるメリットについてご紹介いたします。
仮説思考のメリット
意思決定の迅速化
ビジネスにおける成果は、意思決定の「正確さ」と「早さ」の掛け算で表せます。
時間を費やして正確な意思決定をしても、競合に先を越されれば利益は得られませんし、早いだけの意思決定では利益どころが損益を抱える可能性がありますからね。
仮説思考ができれば、保有する情報から合理的な仮説を見出し、いち早く正確な行動ができるようになります。
対応力が増す
ビジネスにおいて場当たり的な対応は大きな損失に繋がります。
一方で、事前に複数の仮説を立てて、「こうなったら、選択肢A」、「ああなったら、選択肢B」という準備をしておくと、不測の事態に陥る可能性が下がり、対応力を高めることが出来ます。
そのため、一つの仮説ではなく、常に複数の仮説を持っておくことが理想的な状態と言えます。
仮説思考の手順は?
仮説思考の手順は次の4ステップで構成されています。
- 情報収集
- 仮説立案
- 仮説検証
- 知識化
ここからはそれぞれのステップの詳細についてご説明します。
情報収集
情報収集を料理に例えると、食材集めに該当します。食材が多くなると作れる料理が増えるように、情報をしっかり収集すると多くの妥当性のある仮説を立案することができます。
収集する情報は事実と感覚に基づくものの2種類に大別することが出来ます。
例えば、「営業利益が80%減少した」という情報は事実に該当します。「ここ最近、営業先の現場の雰囲気が暗い」という情報は感覚に該当します。
それぞれの情報の強みと弱みについて以下の表にまとめます。
表にあるように、事実情報は正確性や客観性に優れますが、独自性や迅速性には劣ります。感覚情報は独自性や迅速性に優れますが、正確性や客観性に劣ります。
このように、各情報には一長一短があるので、両方の情報を仕入れて仮説を検討することが大切です。
当然のことですが、感覚情報の精度はベテランや現場の社員の方が高いので、有識者や当事者にはしっかりとしたヒアリングをすることが大切になります。
仮説立案
情報集めが終わったら次は仮説立案の段階です。仮説立案を料理に例えると、調理に該当します。
調理段階で重要になるのは、材料を調理するための知識と経験です。これは仮説立案においても同様で、フレームワーク等の知識や過去の経験に基づく知見などが挙げられます。
それぞれのメリットを表に示します。
知識は、勉強をすれば簡単に手に入りますし、時と場合に応じて様々なフレームワークが用意されています。一方で、机上の空論ということもあり、実用性に難点があります。
経験は、獲得に時間がかかる上、属人化しやすい性質があります。一方で、実用性は高く、経験値の高いベテランがいるだけで、仮説の確度が大きく向上します。
このように、知識・経験にも得意・不得意があるので、それぞれの強みを活用すると良いです。
現実的な流れとしては、適切なフレームワークを使って情報を整理して、仮説立案します。それを有識者に検証してもらい、仮説のブラッシュアップをするのがおススメです。
仮説検証
仮説立案が終わったら、次は検証の段階です。検証を料理に例えると、味見に該当します。
仮説を元に行動を始めながら、検証・修正を実施します。仮説の精度を高めたり、複数の仮説の取捨選択を行います。この時点で、有識者にアドバイスを貰うのもあります。
この過程をはさむことで、仮説の確度が上がり、仕事の成果が得やすくなります。
知識化・体系化
仮説を元に行動して得られた結果を検証し、一通りの経験を知識化・体系化します。
結果が良くても悪くても、この過程で得られた知見は、ビジネス書などで得られるチープな一般論と一線を画する深いものとなるので、必ず振り返りを行うようにしましょう。
そうすることで、自分の経験値を高めることができ、ビジネスマンとしての力を蓄えることが出来ますよ。
近年、年功序列が否定されつつありますが、しっかりと上記のサイクルを回しているベテランの知識と経験の深さはやはり尊敬するべきところがありますよ。
まとめ
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