仕事を初めとしたあらゆる物事を円滑に進めるためには、次の4つの能力が必要となります。
これらの能力が備わっている方々は基本的に仕事が出来る人です。
今回はその中でも経験知に焦点を当てて、経験学習モデルを活用した効率的な学習のポイントについて解説したいと思います。
経験学習モデルとは?
経験学習モデルは、コルブ氏によって1984年に発表された体験学習の理論です。
このように書くと難解に思えますが、中身は日常的に人が経験して学ぶサイクルをモデル化したものです。言ってしまえば、誰もが自然にやっていることなのです。
とはいえ、年齢を重ねるにつれて経験的知識の個人差は大きくなります。それは、学習効率が人によって異なるからです。では、どのようにして学習効率を上げればいいのでしょうか?
ポイントは無意識の意識化です。無意識の内にしている経験学習を意識化することで効率的な学習を可能にするのです。そして、それを手助けしてくれるのが経験学習モデルです。
その経験学習モデルは次の4ステップに分かれています。
- 経験
実際の物事を経験する - 振り返り
経験を振り返って経験則を作る - 抽象概念化
経験則を一般化して適用範囲拡大 - 試行
経験則が通用するか確認
以上のサイクルは、普段から私たちが無意識的にしている行動です。これを意識化することによって、より効率的な学習が可能となります。
経験学習の具体例とポイント
①経験
まずは、物事に取り組んで経験を積みます。ここで、大切なのは収穫のある経験をすることです。
未経験の作業や自分の能力を開発できる作業はおススメです。逆に、完全にシステム化された作業や自分の能力と比較して低レベルの作業はお勧めできません。
また、経験を記録として残せる場合は、メモなどに残しておくのも良いでしょう。
そうすると、後々振り返りやすくなります。何事にも言えることですが、データをしっかり保持しておくのは大切なことです。
人は、経験したそばから忘れていきますからね。
②振り返り
次に、経験したことを振り返ります。要は、自分の行動と結果の因果関係を明らかにするわけです。
もう少し具体的に言うと、自分のどの行動・考えが良い/悪い結果に繋がったのかを考えることが大切です。
次に、具体的な経験例で考えたいと思います。
プレゼン資料を作成した後に上司に相談した時は、時間がかかった上に出来が良くなかった。逆に、上司と事前打ち合わせをしてプレゼン資料を作ると短時間で納得できる資料ができたとします。
以上のことから、上司に事前相談すること(自分の行動)が短時間で高品質のプレゼン資料(結果)に繋がったと振り返ることが出来ます。
③抽象概念化
次の段階では、「こうするとうまくいく、ああするとダメ」のような経験から学んだ因果関係を抽象化(一般化)します。
抽象化するのは、経験の適用範囲を広げられるからです。これが出来るようになると、未経験の分野・地位で仕事する場合においても、安定した仕事が出来るようになります。
上記の具体例に当てはめて考えると、上司との意見すり合わせが必要な場合は、事前に打ち合わせておくほうが後々うまく行きやすいという経験則に抽象化できます。
さらに抽象化すれば、意思統一が必要な人・チームとは事前相談することで、同じ方向を向いて行動できる。その結果、効率よく業務をこなせることが出来るという経験則にもできそうですね。
このように、高度に抽象化することで、経験の応用性が一気に高まります。
④試行
③段階の抽象概念化には、帰納的な論理推論が用いられています。
帰納法について知りたい方はこちらの記事を参考ください。
そのため、導いた経験則が正しいとは限りません。これは過度に一般化しすぎるとよく起こります。
ですから、考えた経験則が本当に役立つのか?という観点で試行することが大切になります。
このようにして、蓄えられた経験知を多く持っているベテランは周囲からも重宝されますので、若い方々も今のうちから日々の業務を通して、意識的に経験知を身に着ける必要があります。
まとめ
経験学習モデルとは?
経験学習モデルは、日常的に人が経験して学ぶサイクルをモデル化したものです。次の4段階に分かれています。
- 経験
実際の物事を経験する - 振り返り
経験を振り返って経験則を作る - 抽象概念化
経験則を一般化して適用範囲拡大 - 試行
経験則が通用するか確認
このモデルを活用することで、無意識的に行ってきた経験学習を可視化でき、成長速度を引き上げることが出来ます。
意識すべきポイントは?
各段階における意識するべきポイントを次にまとめています。各段階において以下のことを意識すればより効率的な成長を実現することが出来ます。
- 経験
- 振り返り
- 抽象概念化
- 試行
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